Pain Reduction 〜新生児から成人まで〜 皮膚レーザー照射時の疼痛緩和にも 注射時の疼痛緩和にも

開発の経緯

エムラクリームは、アストラ社(現アストラゼネカ社)において開発されたリドカイン及びプロピトカインの共融混合物に乳化剤及び基剤を加えてクリームとした外用局所麻酔剤である。

一般に皮膚の神経終末の多くは真皮に存在するため、麻酔効果を発揮するために皮膚表面に投与された局所麻酔薬は角質層を通過して真皮に到達する必要がある。角質層は、角質細胞が重層した構造をもち、吸水性に富んでいるが、角質細胞間には細胞間脂質があり水溶性物質のバリアとしての役割を果している。従って、局所麻酔薬が角質層を通過して真皮に到達するためには、脂質層を通過できる疎水性の局所麻酔薬を高濃度に含み、水分含量の高い製剤が必要となる。

エムラクリームの有効成分であるリドカインとプロピトカインは、いずれも室温では固体として存在するが、それぞれを等モル混合すると、室温で液状の共融混合物となる。この共融混合物を用いて製剤化することにより、水分含量が高く、油滴中に高濃度の局所麻酔薬を含む製剤の調製が可能となった。その結果、皮膚から吸収された有効成分(リドカイン及びプロピトカイン)は、速やかに油滴中から水中へ補われ、さらに水中から皮膚への透過性が高まり、十分な局所麻酔効果が得られるようになった。

本剤は、1984年にスウェーデンで承認されて以降、世界80ヵ国以上(2013年9月30日)で承認を取得し、外用局所麻酔剤として針穿刺、皮膚小手術時の疼痛緩和といった幅広い適応症に対して使用されている。国内においては、佐藤製薬株式会社がアストラゼネカ社とライセンス契約を締結し、開発に着手した。2012年1月には「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」を効能・効果として承認を取得し、同年5月より販売を開始した。

このたび、国内において小児血管腫、母斑患者を対象とした一般臨床試験並びに注射針等穿刺予定の患者(静脈穿刺予定患者、硬膜外ブロック予定患者、動脈穿刺予定患者、トリガーポイント注射予定患者)を対象とした比較臨床試験及び一般臨床試験を実施した。その結果、小児及び成人において本剤の有効性及び安全性が認められたことから、2015年6月、「注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和」の効能・効果と小児に対する用法・用量を追加することが承認された。